銀河鉄道物語 第1話「旅立ち」

カコイイ!! 全く期待していなかっただけに、これは大収穫。作画も濃いし、演出も流麗だ。話は「自分の命を賭けて、愛する人を守る」というこれでもか!と言わんばかりの松本零士節。にも関わらず、古クセーとかダサーといったネガティブな印象は全く持たない。ただひたすらカッコイイものとして受け入れられる。作品としてレベルが高いことは勿論であるが、それだけではここまでの説得力を持たないだろう。

「父の強さ」「母の優しさ」「親に向けられた子供たちのひたむきな愛情」これらをここまで肯定的に描いた作品は現在ではむしろ異端と言えるだろう。しかし、この強い肯定性があるからこそ、松本零士の持つ多少強引で古臭いロマンチシズムを、現代の観客はスムーズに受け入れることができるのだろう。「強い肯定性」を、そのまま観客に伝えることは案外と難しい。作り手に少しでも迷いがあったら、その迷いが作品に確実に反映されて、物語の陳腐性だけが浮き上がってしまうからだ。この作品は、多数の作品(「機動戦士ガンダムSEED」とか、その典型だと思う)が陥りがちな罠に嵌らないだけの、したたかだが誠実な力も持っている。松本零士(及びスタッフ)はどんどんと複雑化する現在においても(いや、だからこそか)、自らの持つ理想・テーマに一点の曇りも持っていない。これは、本当にスゴいことだと思う。