獣兵衛忍風帖 第5話「金剛童子」

いつもは逃げ回ってばかりのつぶてが、今回の話では手を氷の刀にして向かってくる金剛童子相手に一歩も引かない男気を見せてくれる。普段は獣兵衛の横にいるため、ただの「生意気なクソガキ」という位置に甘んじているが、獣兵衛から離れ、精神年齢の低い金剛童子と対照させることで、つぶてというキャラクターの深さが出た、良い回であったと思う。

つぶては金剛童子のことをちゃあんと見ているんだよな。だからこそ、金剛童子に乗っかかられ刀を鼻の先に向けられても、ちっとも恐れることなく「お前はろくでなしだ。それで、いいじゃないか」と言うことができるのだろう。つぶてには、金剛童子の持つ心優しさを全く疑おうとさえしない。なかなかの懐の深さだと思う。

だから、今回の話は「金剛童子〜成長篇〜」であると同時に、「つぶて〜俺だって大人よ?篇〜」とも言えることができる。つぶてが金剛童子に対して「お前は盗人には向いてねぇよ」と言うところも、つぶての持つ「大人な視点」が現れている。それがラストに来て、獣兵衛にあっさり宝玉を盗まれて「お前は盗賊には向いてねぇよ」と言われることで、また元の「生意気なクソガキ」の位置に戻るところが面白い。獣兵衛から見たら、つぶてはやっぱりまだまだ子供、というところが確認されると同時に、我々観客もつぶてが元のキャラ位置に戻ってくれたことに安心するのである。