DearS 第1話「甘噛みたいの」

うる星やつら」から代々と続いている典型的「押しかけ女房型ラブコメ」。正直、ちょっと食傷気味なのだけれど、これは面白かった。ディテールの詰め方の上手さが、ありえない夢物語にきちんと日常性と説得力を与えている。

勝手に部屋に入ってきて寝ぼすけ(←死語)の主人公を起こしてくれる幼馴染み、という設定は王道中の王道なのだが、本作の和泉寧々子は過去に類例を見ないほど、「幼馴染みキャラ」としては異彩を放っている。もっとはっきりと言ってしまえば、「美人」とか「可愛い」といった属性を全く与えられていない。ちんちくりんな体型といい、ボサボサの髪の毛といい、利発だが地味な性格といい、どこを観ても一般的には「アウト」な位置に立っている。って言うか、こういった女の子、現実世界でよく見かけるよ。特に「オタク」な女の子で、こういう子、多いって。「一緒に下校したり、朝起こしてくれる幼馴染みの女の子」という王道な設定に、所謂「美少女」ではなく、寧々子のようなそのへんに転がっている女の子を配置するところが面白い。また、この子の存在のおかげで、全体としてはぶっ飛んだ物語&設定の本作に、最低限のリアリティが与えられているところも見逃せない。

また、主人公がバイト先から持ち出したAVと交換に、友人から食事(大量のメロンパン)を渡して貰う、っていう設定も、地に足が着いていていい感じだ。こういった地味だがきちんとしたディテールによって、「ちょびっツ」のちぃを彷彿とさせる不思議系宇宙少女やら、「お前は安達哲のキャラクターか」とツッコミたくなる奔放なエロを生徒相手に放出する蜜香先生といった、ぶっ飛びまくったキャラクターが生きてくるのであろう。

それにしても、主人公の声はまた谷山紀彰かー。「君が望む永遠」とか、「美鳥の日々」とか、つくづくラブコメの主人公が多い人だ。一昔前の菊池正美、少し前の阪口大助のようだ。まーこの人の弾けた演技は好きなので、私としては別に問題ない。