プラネテス 第3話「帰還軌道」

ハチマキは内面に熱い感情を持っているクセにそれを決して表に見せようとしないところが実に男の子らしいし、タナベは思ったことや感じたことをぜーんぶ口に出すだけでなく、行動にまで移してしまうところが実に女の子らしい。「男らしい」「女らしい」ではなく、「男の子らしい」「女の子らしい」といった言葉がピッタリだ。当然、この2人は衝突し合うことになるけれど、2人の性格が幼いので実に微笑ましく見えてしまう。

この2人が幼さを暖かく見守ってあげているのが、この作品の持つ優しさだよな。所謂「大人向け」のアニメではなく、どちらかと言うと「マリみて」同様に、中高生に観てもらいたいような作品だと思う。

遺体の処理に関して、2人の意見が分かれたことも、「男の子」「女の子」の考え方の違いが出ていて面白い。ハチマキが「宇宙葬」に賛成しているのは、彼が「宇宙」という「広い舞台」=「外界」に対して大きなロマンを感じている「男の子」らしさを維持している証である。それに対してタナベが遺体を地球に返すべきだとする意見を主張した裏には、彼女の「女の子らしさ」が隠れている。「地球」=「故郷」=「家族」を最も優先する、という考え方だ。

また、2人が所謂、美人、美男でないところにも注目したい。この作品は主人公が2人存在しているため、男の子はハチマキに、女の子はタナベに、感情移入をして話を追いかけていくことができる。このへんも幅広い層に受け入れられている理由かもしれない。