ゴールデン・ボーイ

何だこの中途半端な結末は。主人公の少年が「完全に社会からドロップアウトしてしまう」という原作のラストにこそ、本作品のテーマ性もカタルシスもあるはずなのに。それまでがよくできていただけなのに、余計に残念でならない。

ブライアン・シンガーの演出は、特に凝った事をしている訳でもなく、割に普通であったと思う。それよりも、役者の演技が素晴らしかった。ブラッド・レンフロは、地なのか演技なのか分からないけれど、思春期特有のナイーブさをこの作品でも見事に体現していた。アーサー・デッカーもといクルト・ドゥサンダー演ずるイアン・マッケランも貫禄溢れる演技で、見事であった。どこかで聞いた名前、だと思ったら「ロード・オブ・ザ・リング」のガンダルフ翁の人であったのか。浮浪者とちょっとホモっぽい展開になりそうになるのは、イアン・マッケランだからということで狙った演出であったのだろうか?(イアン・マッケランは自分がゲイであることを公言している)

嫌がる男の子たちを撮影スタッフが恫喝して、全裸撮影を敢行した事で問題になったシャワーシーンを楽しみにしていたのだけれど、案外大人しくて、拍子抜けしてしまった。キャリーの冒頭のシャワーシーンの方がよっぽど見応えがあったではないか。(日本版ではモザイクがかかりまくっていたし)男の子たちも、その親御さんも、減るもんじゃなし、ちょっと裸になるくらい、いいじゃんかなぁ。それほど大きな演出効果がある訳でもないのに、無理して全裸にさせる監督&スタッフも、よー分からんし。どっちもどっちかなぁ。