エアマスター 第10話「燃えろ!北枝金次郎」

中ノ谷美奈のぴちぴちボディーを前にしての「この女、まさにザ・女だな」とのたまう、稲田徹声の人の超絶バカセリフに身悶えた。

本作品における強さとは「覚醒」と「酩酊」の境界線に、如何に長く留まることができるか、に大きくかかっている。月雄が何百人もの黒正義誠意連合をバッサバッサと高速ピストンパンチで殴り倒した後、突然視点が合わなくなってしまって距離感が掴めなくなってしまうシーン、また、時田伸一郎が酒を飲んで酔っぱらうことで一時的に高い戦闘力を持つシーンは、二人の強さの「限界」をはっきりと示している。

四六時中ラリっているようにしか見えない坂本ジュリエッタが、本作品で最強のファイターの一人として挙げられているのも、まさに上記に示した理由に他ならない。坂本ジュリエッタは一見アホそうに見える。だが、そうではない。思考が非常にシンプルで、邪念が存在しないのだ。彼の頭の中は「相川摩季が欲しい」ただそれだけであり、そのシンプルで強い想いこそが彼の力の源となっているのであろう。

「バカそう」という点では、相川摩季と時田金四郎の二人にも共通している要素である。また、異性に免疫がないという点でも両者は共通している。つまり、二人とも「戦い」を極めようとする求道者であり、戦う以外の様々な要素は彼らにとってほとんどどうでもいいものなのであろう。相川摩季に至っては、もはや「戦い」という意識すらないのかもしれない。彼女が目指すのは、彼女が以前に新体操をしていた時に感じた、人間の臨界点を越えたところにある恍惚感であり、無我の境地なのだ。彼女にとって、勝負の勝ち負けなどは全くどうでもいいことなのだろう。(それが彼女と崎山香織との大きな相違点となる)