機動戦士ガンダムSEED DESTINY 総論

oippu2005-10-02


「傑作になったかもしれない超駄作」。最後の3〜4回に強引に詰め込まれたネタを見るにつけ、スタッフの「あんな設定もやりたかった、こういう展開も用意していた」という想いが透けて見える。だが、全体の構成が駄目過ぎたために観客にとっては「1人よがり」「トンデモ話」にしか見ることができなかった。デュランダル議長という男の狂気を描きたかったのは分かるが、AAの連中たちの方がよっぽどキチガイに見えた訳だしね。(特にキラたん)また、レイが最後に議長を撃つという背徳行為を選択したのも、これまでの積み重ねがきちんとされていたら、もっと感動的な、納得のゆく場面として見せられたはずだったろう。(実際には、レイの行為があまりに唐突すぎるので観客は戸惑ってしまうしかない)

あー、でも構成がマズかったって言うより、設定・物語をきちんと練り込むことができないまま最終話近くまでいってしまい、結局、中途半端にできあがった設定をテキトーに物語に放り込んでしまったってことだろうな。

やっぱり議長の描き方を完全に間違えてしまったと思う。もっと魅力的で、独自の哲学を持ったキャラとして描くべきであったはずであった。しかし実際は単なる猿マネで、ジブリール同様の俗っぽい男でしかなかった。Destiny Planも「コーディネーターとどこが違うの?」というだけで、甚だオリジナルに欠けるし。(前も言ったけれど、「コーディネーター」の存在そのものが戦争の引き金になったんだぞ。「歴史は繰り返す」的なエラそなこと言ってるけれど、ただ単にお前が学習能力のないアフォなだけだろ?)レイの過去には議長の存在が、フラガがネオ・ノアロークになった背景にはジブリールの存在があったみたいだけれど、こいつらのやってることって結局一緒のこと………つまり、「優秀な人造人間を作って、自分の手駒として働いてもらう」という発想は、デュランダルジブリールは全く同一である。レクイエムという最終兵器を安易に使ってしまうところもそう。発想自体が幼稚で、短絡的で、後先のことを全く考えていない。ジブリールは自分の考えや欲望が顔にも言葉にも表れまくりの正直なところがあるからまだいいが、デュランダルは勿体ぶった口調でクールな表情を見せていながら、内面では何も考えていないところがイタ過ぎる。(そのクセ決断力と行動力だけは有りすぎるから、本当ハタメーワク)

物語の当初としては、デュランダルをもっと複雑で、魅力的なキャラクターとして設定するはずだったのだと思う。だが、いろいろと考えた末、結局力つきて安易な結論と薄っぺらい悪玉キャラに飛びついてしまったということなのだろう。結局、面白かったのは最初の十数話くらいからか。(AAの連中がカガリたんを拉致って以降の展開は加速度的にトンデモ度が進行していく)最初のうちは割と期待して見ていただけに、終わってみればSEED以下の愚にもつかない与太話。

まぁメカ描写が(ワンパターンなコンテとは言え)そこそこ頑張っていたし、ルナマリアがアフォ過ぎで萌え萌えだったりと、見所が全くない訳ではなかったしな。(かなり辛かったけれど)途中で切ることなしに最後まで観られただけでも、評価すべきであろう。