マッチスティック メン

うーん。

親子人情ものか、騙し騙されの駆け引きゲームなのか、イマイチ判然とせず。つーか、前半でたっぷりロイ@ニコラス・ケイジとアンジェラ@アリソン・ローマンのええ感じの親子人情ものを見せておきながら、最後の最後で「実は本当の親子ではありませんでした。娘がオヤジの相棒とグルになってオヤジを騙していました」って、そりゃないんじゃない? 作劇におけるルール違反ではないかと思う。そのクセ、親と娘を再会させて、ほのぼのムードで物語を締めようというのは、少し虫が良すぎるのではないか。

実は、この映画の構造に近い作品がある。「フェイク」という映画だ。FBI捜査官であるジョニー・デップが身分を偽って、マフィアの大物アル・パチーノに近付く、という構造となっている。この映画では、デップがパチーノと友情を深めていく過程、パチーノを裏切ることに対するデップの罪悪感を、丁寧に描かれてある。

マッチスティック・メン」におけるロイとアンジェラの関係性もこれに近いものであると考えると、納得できる。一本の映画で「親娘人情もの」と「騙し騙され駆け引きゲーム」の二本分が楽しめる、という見方もできるだろう。

だけど、もう少し説明か伏線が欲しかったように思う。アンジェラがロイを騙していることに対する罪悪感を描くなり、いろいろ方法はあったはずだ。ニコラス・ケイジも、アリソン・ローマンも、素晴らしい演技をしているだけに、中途半端な作品になってしまったことが残念だ。