機動戦士ガンダムSEED PHASE-22「紅に染まる海」

と思っていたら、早速冒頭にこんなシーンが。「海上に入ったので、ちょっとの間ならデッキに上がって休憩していいよby優しいラミアス艦長」→「最近、軍の規律が乱れていて、上下関係の何たるかを理解していない者がおる!ケシカラ〜ン!!by怖いバジルール中尉」。両者のスタンスの違いがくっきりと現した、効果的なやり取りであった。のだけれど、これが後へと続いていかないのがSEEDなんだよなー。メカニックの人は相変わらず以降の話でも、キラ「少尉」に対してタメ口で会話しているし。

これに限らず、SEEDって後付けで設定を加えたり、物語的弱点を補うようなシーンを挿入したりよくしているのだけれど、それっきりのまま終わってしまって、後でその設定やシーンを活かそうとしないんだよなぁ。ただ、「ファンからのツッコミの言い訳」として、その都度その都度、設定やシーンを用意しているに過ぎないんだよね。そこが、SEEDのダメダメなところなのだけれど、スタッフはどう考えているのだろうなぁ。

今回も、「ストライクは水中戦闘用には作られていないんですよ!」と、(ファンからツッコミを入れられる前に)劇中でキャラクターたちにツッコミを自ら入れさせておいて、「でも、やらなきゃ!」と精神論で乗り越えてしまおうという、実に言い訳がましいストーリー展開であって、観ていてやきもきさせられてしまった。(しかも、このやり取りを1話の間に2回もしているのだ!!)宇宙戦闘用ロボットが、水中で戦える訳はどうしたってないという事は、ロボットアニメに詳しくない私のような者にだって分かる自明なミスをしでかしてしまうとことが何ともイタい。もっとイタいのは、そのミスにスタッフが自覚的であるということだ。ヘンに「リアルロボットものをしている」という下らないプライドがあるから、言い訳めいたセリフをキャラクターに吐かせてしまうんだよな。本気で「リアルロボットもの」をしようとするのなら、「ストライクを使えない」という状況の中で何とか戦況を乗り越える方法を考え出させるべきであるし、「スーパーロボットもの」として開き直るのならば、何の言い訳もなしに水中戦バトルをカマしてくれるべきではないだろうか。

まぁ、このへんは観客とスタッフとのコンセンサスの問題なのかもしれない。スタッフはハナっから「スーパーロボットもの」を作ろうと思っているのだけれど、「リアルロボットもの」を期待している観客も多数いるという現状を知っていて、その上での配慮で上記のような「言い訳」をしているということなのかもしれない。