この醜くも美しい世界 第2話「あなたが初めて」

唐突に始まるヒカルのアイデンティテー・クライシス。また、唐突に始まる竹本タケルの過去のトラウマ話。あぁ、せっかく「キャラクターが行動する理由がシンプル」であることを前回の話で褒めたのになぁ。新世紀エヴァンゲリオンの後、雨後の筍のように現れた「エヴァもどき」のように、本作品でも懲りずに「複雑な精神ドラマごっこ」を作るつもりなのだろうか。本家GAINAXで「エヴァもどき」を作ってどうする。

まぁ「エヴァ」と違って、キャラクターが鬱に嵌って全く行動できなくなるといったことはないようだけどね。その逆。各キャラクターが、(唐突なタイミングで)勝手に思いを巡らして、勝手に鬱に入って悩んで、勝手に自分で解決して、勝手に全力で行動を開始してくれやがる。おかげで視聴者は、何をそんなに熱いセリフで盛り上がってるのだオマエラ、と言いたくなるくらいに置いてけぼりを喰らわされることになる。
ヒカルが自分は何者か悩むのもちょっと唐突な気がしたのだけれど、まぁ、まだ何とか理解してあげられないこともない。でも、ヒカルの行方が分からなくなった後、主人公が突然自分の部屋に引き籠もって、過去のトラウマ話を思い出す展開は、理解してあげようにも理解してあげられそうにない。前回、身体を張ってヒカルを守ってあげたクセに、ちょっとどこか行ったくらいで、何悩んでるんだよ? 実際は散歩に行っただけで、ほんのちょっと探してすぐに見つけることができたクセに、熱い熱い抱擁と共に「俺がお前にヒカルと名前を付けたんだ! 俺がお前を守ってやる!」と一人で突っ走ったセリフを吐いてるし。(実際、このセリフって「お前は俺の女だ」と同義ですよね)
それに対してツッコミを入れるどころか、「ヒカルちゃんはヒカルちゃんだよな。宇宙人なんかじゃないよ」とウンウン頷きながら、トンチンカンなセリフを吐いているクラスメイトもタケルと同罪だよな。別にオマエラ、ヒカルの事を「宇宙人」だからといって差別したりしていなかったじゃないか。オマエラ、「自称宇宙人」の言うことをこれっぽっちも疑わず暖かく迎え入れたばかりか、徹夜までして彼女のために服を作ってあげたじゃないか。(まぁ作ったのは女子共の方だけれど)何だ、さも「自分たちが悪かった」と言わんばかりのそのセリフは。どこまでお人好しなんだオマエラ。

あぁ、何か書き手の私まで突っ走っていろいろと書きすぎてしまった。GAINAX作品ということで、それなりに期待して観ているのだから、余り期待を裏切るようなことはしないで欲しいんだよなー。演出面・作画面においては、ほぼ問題ないのだから、後は話の展開をちょっとどうにかして欲しいんだよなー。