藍より青し〜縁〜 第11話「月光〜げっこう〜」

繭っちの生ケツ(湯煙越し)が拝めたり、ちかりんのパンモロが拝めたり、管理人さんのセーラー服姿が拝めたりと、ファンサービスを所々に挟みながらも、アメリカ帰国前のティナの心情を丁寧に描ききり、きちんと「泣ける話」に仕立てる手腕は、相変わらず見事という他はない。ところどころハッとする構図があったり、背景美術や小道具を丹念に描き込んでいたりするところ(たとえば今回で言えば、桜庭家の食卓に並ぶ食事の美味しそうな事!)からも、本作品の持つレベルの高さが伺える。

ティナに一升瓶を前にして両手に日の丸扇子を持って踊らせるという、まるで高橋留美子キャラのようなパフォーマンスをさせた後で、薫が寝ている側で誰にも気付かれないようティナが泣きじゃくるシーンへと繋げる流れが上手い。ここで大きな「落差」がある事で、観客はグッとティナの感情に引き込まれると共に、ティナの持つ二面性がはっきりと示される効果をも持つこととなる。ティナが人前で無理をして「空元気」を見せて、「ガサツな女」を演じているのを眼にする事で、逆説的に、気を許した仲間内でさえ本当の事情を打ち明けることのできないティナのデリケートで脆い内面性を視聴者は感じ取ることができるのである。
ティナ@雪乃五月の好演も相まって、私もこの場面ではグッと来てしまった事を白状しておく。

しかし、前にも言ったが「藍青」は損な作品だと思う。それこそ「プラネテス」や「カレイドスター」などの名作群と並べて語られてもおかしくないくらいの位置にいる作品であると思うのだが、ファンサービスが旺盛過ぎるために(生ケツ見せたり、パンモロ見せたり)、本来の実力より安く見られている部分があるのは、実に勿体ない。そう思っているのは私だけなのだろうか?

でも、繭っちが大学生である事を知るたびに、(最初から知っているはずなのに)ビックリしてしまうのは、私だけではないはずである。身体も精神も、どう見ても中学生女子だもんなぁ、繭っちは。