藍より青し〜縁〜 第12話「絆〜きずな〜」

映画芸術とは時間芸術である」という名言を吐いたのは、かの高畑勲である。「藍青〜縁〜」最終話では、その高畑勲の名言を思い起こしてしまうように、繊細で美しい時間が流れていた。アメリカにいる時にティナが剣玉をしている間延びした時間も、ティナや桜庭館の空虚な気持ちを見事に表現していた。また、Bパート直後、「ティナ、屋根の上でひなたぼっこ」→「管理人さん、屋根から足を踏み外し落ちそうになる」、という緩和から緊張への流れ、そしてそのまま再び緩和に戻っていく展開も、実に見事であった。余りの時間の美しさについつい気付くのを忘れてしまうのだけれども、よく見ると、緻密な時間配分がなされているのが分かる。

今回の話も、「だからどーした」と言ってしまえばそれまでの、「何にも起こらない話」であった。だが、「何にも起こらない」にも関わらず、その面白さ・美しさに20数分間を一瞬たりとも眼を離せなくなってしまっていた。本作品の面白さは、スタッフが先の高畑勲の名言をきちんと理解していたからこそ、可能なことであったろう。当初は全く期待していなかったのだが、本当に素晴らしいシリーズであったと思う。

あー、ティナの袴姿に萌えて、もうどうにも困ってしまったことは付け加えておかなければ。それと、集合写真(ラストカットではなく、ティナの部屋にあったもの)には、繭っちの姿は映ってないのな。繭っちはティナのことをあれだけ心配していたというのにね。